各種目を定期計測していこう(認定記録会のススメ)
トライアスロンにチャレンジするにあたって、練習の指針となるのが、各種目のタイム計測です。完走、入賞、優勝など大目標を掲げたあとは、それに向けて、現在の自分の実力を各種目ごとに指標となる距離のタイム計測をして数字で把握しておきます。そして、大目標を達成するには各種目のタイムがどのくらい必要かを予想し、そのギャップをトレーニングによって埋めていくわけです。それでは、スイム、バイク、ラン、どのような計測をして実力を把握すればいいのでしょうか。
計測の基本
計測は、トライアスロンを続けていく上で、ずっと継続して行っていきます。そのため、比較できるように条件を一定にする必要があります。スイムであれば、プール、ランニングであればトラック、もしくは同じコース。(いずれにせよ、ラップタイム(ペース配分)なども記録すると比較材料になるのでトラックをオススメします)
バイクであれば、風の影響を受けづらい峠がいいですね。スタート地点とゴール地点は必ず毎回同じになるように設定します。機材による変化も大きい種目なので、どんな機材を使ったかのメモも忘れずに。もしくは、インドアトレーナーでもOKです。
こうした計測は、毎回の練習で行う必要はありません。トレーニングを開始したとき、レースまでの中間時期、そしてレース前に行い、進捗状況を見ながら、トレーニングを変えたり、レースプランを修正したりします。
スイム・ランは認定記録会を利用する
現在、日本トライアスロン連合の主催する「認定記録会」は、実力を把握するのに最適な記録会です。夏場を除いて全国で開催されているので、利用するといいでしょう。計測は、スイム400m(25mプール)とラン5000m(400mトラック)と決まっているので、自主的に行う際にも、同じ条件で計測できます。
また、この記録会には、全国で選手が参加しますので、情報が蓄積されていて、自分がどのくらいの位置にいるかを知ることができます。
この図表には、1級から10級までのタイムが記されています。もちろん、トライアスロンを始めたばかりの方には、速すぎるタイムだと思いますが、参考にするといいでしょう。
だいたい、近年の日本選手権に出場できるレベルは、7級以上。この7級という級は、学生選手権のインカレ出場のシード権にもなっていますから、エリートを目指す上で、一つの目安になるでしょう。海外のエリートレース(コンチネンタルカップ)に出場するには、5.5級が必要です。このレベルになると、日本の強化指定選手として認定されることになります。ロングの選手においては、スタミナに自信のある選手が多く、この短い距離の指標では測りきれない部分がありますが、強化指定選手の最低条件として10級クリアが入っています。
バイクも定期計測する
バイクも当然、定期的に実力を計測していきます。条件がなるべく同じになるように同じコースで、風などの影響がないように峠などで一人でタイムトライアルを行います。信号がない10分〜20分くらいのコースがいいですね。私は東京在住ですが、大垂水峠(東京在住のトライアスリートであれば皆が知っている有名な峠です)を定期的にタイムトライアルしていましたよ。
パワーメーターを持っている、または、ワットバイクなど利用できる環境にある選手は、インドアバイクで20分の全力走でFTPを計測します。FTPとは、1時間の最大出力パワーです。20分の全力走でFTPは予測できるので、十分にアップしてから20分の全力走に挑みましょう。
まとめ
各種目、指標となる計測をご紹介しました。この指標を元に目標を決めたり、進捗状況を確認していきます。私はトライアスロンをはじめて20年近くなりますが、毎年毎年のこうした記録が財産になっています。どういう練習をしたら、どうなるのか。記録会の数字がいい時には、やはり結果もいいですし、記録会が不調でも、それを反省してスピードトレーニングをやり直して、シーズンの結果が復調したこともあります。もちろん、計測は全力ですので、体はキツイですが、その見返りは十分にあります。もちろん、数秒を争うことは、細かな動作一つ一つを見直すことになり、結果的に大きな改善に結びつきます。また、全力を出し切るため、練習効果も非常に高く、かつ時間は短いのでダメージも少ないリスクの少ないトレーニングでもあります。ぜひ、トレーニングに組み込んでみてくださいね。
by KD