トライアスリートにVO2max向上は必要か?VO2maxとは?
VO2max、よくトレーニングで聞く言葉ですが、説明できる方は少ないかもしれません。VO2maxとは、車でいう排気量のことです。エンジンの性能ですね。車を速く走らせるためには、高出力のエンジンが必要です。VO2maxとは、このエンジンの出力性能の数字です。もちろん、レースで速く走るには、燃費だったり、車のボディの重さや形状、そして運転技術なども必要なので、エンジンが全てではないのですが、選手のレベルを計る大きな要因の一つになります。
VO2maxとは
運動中に体内に取り込まれる酸素の最大量のことをいい、最大酸素摂取量は「有酸素運動能力」を意味し、全身持久力の指標として用いられています。最大酸素摂取量のことで、 V = 量(volume)、O2 = 酸素、MAX = 最大限(maximum)の略称です。
運動中に呼吸によって体内に取り入れることができる酸素の最大容量を、単位時間あたり(1分間あたり)、単位重量あたり(体重1㎏あたり)、どれだけの量(ml・ミリリットル)の酸素を取り入れることができたかで表したものになるので、VO2MAXが高ければ高いほど「体重1kgあたりで1分間あたりに使える酸素量が多い=生み出せるエネルギー量が多い=より速く走れる」というわけです。
高い選手はどのくらい?
V02maxはクロスカントリー選手やボート競技選手など全身を使う競技の選手が高いようです。マラソンでは、実業団レベルで70ml/kg/min〜、オリンピアンで80ml/kg/min〜とのデータがあります。残念ながらトップトライアスリートのデータが見つからなかったのですが、一般的にフィットしているトライアスロン選手(アイアンマン)では、50〜60ml/kg/min程度。35−50歳のエイジ優勝アスリートでは、70ml/kg/min前後というデータが見つかりました。最近では、心拍計で自分自身のVO2max予測値が出るモデルもあります。アイアンマンで上位を目指すのなら、このデータはいい目標になりそうです。
持久力が求められる長距離種目でも必要なの?
持久力競技であるトライアスロンでも、VO2maxの値を向上させることは必要なのでしょうか。思い切り走って息を切らすようなシーンのないトライアスロン(アイアンマン)ですが、VO2maxは極めて重要です。息を切らさないで走るペース(有酸素運動)を向上させるためには、ゼーゼーハーハーのペースを向上させておく必要があるのです。乱暴な例え方をすると、同じ1kmを5分で走るのに、全力で4分の選手と、3分の選手では、「余裕度」が変わってくるのです。
どんなトレーニングで向上する?
V02maxの向上には、短い時間のインターバルが有効です。具体的には8分くらいまで。私の大好きなメニューをいくつか。週に一回程度で十分です。特にランニングは怪我のリスクが高まるのでコンディションのよいときに行ないましょう。
タイムを計って、ゼーハー息切れするトレーニングは好きじゃない?仲間とおしゃべりしながらの練習で満足という人には不要なトレーニングです。ただし、今より「強くなりたい」なら避けては通れないトレーニングです。どうしても完走したい!どうしても勝ちたい!と思うならやりましょう。結果はトレーニングに正直です。今の自分で満足ですか?もやもやするなら、勇気を出して!
スイム:
#1(100m×8)レストは泳いだ時間と同じくらい
#2(400m×5)レストは1分〜1分30秒
バイク:ローラー台か安全な上り坂で行ないます
#1(3分ハード3分レスト)×8セット FTP110〜115%
#2(6分ハード4分レスト)×5セット FTP105%
ラン:距離がわかるトラックか周回コースで行ないます
#1(1km×8セット rest Jog60秒〜90秒)
#2(2km×4セット rest Jog2分30秒〜4分)
まとめ
超持久系のトライアスロンであっても、スピードトレーニングで強くなることができます。それは、エンジンの出力が高まるからです。もちろん、エンジンだけではダメです。ボディの耐久性や燃費性も向上させながら、かつエンジン性能をあげていきましょう。だらだら長い時間低強度でトレーニングしても、燃費はよくなっても、エンジン性能は上がっていきません。週1回でいいので、VO2maxを刺激するトレーニングを取り入れてみてください。
ByKD