DHバーをつけたロードバイク、TTバイクどちらを選ぶ?
競技の自転車には、大きく2種類に分けることができます。一つ目はロードバイク、二つ目がタイムトライアルバイク(以下、TTバイクと略す)です。ロードバイクは、ツール・ド・フランスなどの自転車競技に代表されるロードレースで使用されます。TTバイクは、自転車競技の中でも、タイムトライアルステージにて使用されます。トライアスロンでは、どちらが向いているのでしょうか?
トライアスロンのバイクパートは、個人の力で走る(ドラフティング=風除けを使わない)ので、タイムトライアルバイクを使うべきでしょう。しかし、ちょっと待ってください。選手のレベルや、大会のコースによっては、TTバイクではない方がいいかもしれません。(*ショートのエリートレースを除いてお話しています)
「トライアスロン初心者はロードバイクを」
ロードバイクは、自転車競技に必要な特性を満たしています。自転車競技とは、写真のように選手同士で風の抵抗を分け合って進む駆け引きのある競技です。フィニッシュラインを一番先に越えるために、仲間に風除けになってもらったり、ライバル達を振り落とすために、ペースに緩急をつけたり、アタックをかけたり、またアタックに反応したり。峠もあれば、急なコーナーを攻めるシーンもあるでしょう。あらゆるシーンを想定して作られた自転車がロードバイクです。スピードの緩急に対応できるように反応が早く、ハンドリングもしやすく設計されています。ドロップハンドルの手前を持てば、坂道は楽に感じるでしょうし、ブラケットに手を添えておけば、急なブレーキやシフトチェンジにも対応できます。また、ハンドル下を握れば、スプリントで大きな力を発揮できます。
トライアスロンをはじめたいという初心者の方には、まずロードバイクをお勧めします。なぜなら、時速30kmも40kmも出る自転車ですから操作性のよいものが一番です。ロードバイクは扱いやすく、値段も安いモデルが多くあります。
「慣れてきたらロードバイクにDHバーをつけてみる」
ロードバイクの操作に慣れてきたら、DHバーをつけてみましょう。DHバーとは、エアロバーとも呼ばれるハンドルに取り付けるアタッチメントです。突き出した棒を握って、パットに肘をのせて体重を預けることにより、空気抵抗の少ない姿勢で走行することが可能になります。ただし、当然、走行中のハンドリングは難しいため、初心者にはお勧めできません。とっさにブレーキできないので、十分に慣れてきたら装着しましょう。目安としては、オリンピックディスタンスで完走を果たし、次はタイムの短縮を狙うぞ、という段階で大丈夫です。
「TTバイクにチャレンジ」
さらに、上級者になるとTTバイクにチャレンジしたくなるでしょう。しかし、日本国内のオリンピックディスタンスの大会の多くは周回コースが多く、コーナーが多くて細かなハンドリングが要求されます。そのため、ロードバイクにDHバーをつけたバイクが適当です。しかし、ロングの大会となると話は変わってきます。ロングディスタンスの大会では、圧倒的にTTバイクが有利です。完走を目標とするロングディスタンスの大会であれば、DHバー付きロードバイクでも構いませんが、タイム短縮を目指すなら、間違いなくTTバイクをお勧めします。ロングディスタンスに挑戦するくらいのトライアスロン歴であれば、TTバイクの操作も十分可能でしょう。TTバイクの特徴としては、ハンドル形状が、ブルホーンと言われる形で空気抵抗が少なくなっています。さらに、バーコントローラー(バーコン)といって突き出した棒の先でシフトチェンジが可能です。つまり、DHポジションを取りながらシフトチェンジができる訳です。TTバイクの選手のほとんどが、ほぼレース中はDHポジションで走行しています。
ただし、デメリットもたくさんあります。当然、ハンドリングは悪くなります。また、TTバイクでは、空気抵抗を減らすために内側に格納されていることが多く、メンテナンスは煩雑で、ブレーキ性能は確実にロードバイクより劣ります。また、フレーム剛性も、縦に強いものが多く、直進性に優れているものの、急加速や厳しいコーナーなどには向いていません。もちろん、ロードバイクに比べて重量もそれなりにあります。つまり、一定ペースでコーナーが少ないレースに向いているけれども、急加速やコーナーの多いコースには向かないということです。多くのロングの大会は前者になりますので、上級者になるとTTバイクの使用率がグンと上がる訳です。
「まとめ」
トライアスロンといえば、格好いいTTバイク!ですが、自分のレベル、出場大会にあった自転車を選びましょう。とはいえ、トライアスロンを始めたからには、いつかTTバイクを乗りこなしてほしいですね!やっぱり鍛えた身体にTTバイクは格好いいです!
byKD