宮古島トライアスロンの勧め
「地球と遊ぶトライアスロン」
トライアスロンは自然と向き合うスポーツといっても過言ではないでしょう。美しい自然がとても似合うトライアスロンレースは、世界各地のリゾート地で行われています。風光明媚な観光スポットで泳いで、自転車にのって、走る…本当に非日常的な時間ですね。トライアスロンでなければなかなか味わえないでしょう。
「宮古島トライアスロンの魅力」
特に、毎年4月に行なわれる沖縄県の宮古島で開催されているトライアスロン大会は、何倍もの抽選になる人気大会です。全国各地からたくさんのトライアスロンをするアスリート(トライアスリート)たちが集まります。その人気の秘密は、島を取り囲む美しい大自然と島の人々の温かさです。
スタート種目のスイムでは、透明度の高い「宮古ブルー」とよばれる素晴らしい海を泳ぎます。普段見ることのできない海の中の様子や海面からの景色は、トライアスリートだけが見ることをを許されたかのような錯覚に陥ります。泳ぎながら珊瑚に戯れるカラフルな魚たちが、また、運が良ければ海ガメが悠々と泳ぐ姿も見られます。
バイクは島を一周半するダイナミックなコース。伊良部島、池間島、東平安崎、来間島といった島の絶景スポットをまわるコースは、車では味わえないものです。特に、各島を繋ぐ橋を自転車でわたっていくときには、海の上の空中を駆けているような感覚です。(写真の伊良部島にわたる橋を見てください!)もちろん、島特有の風が選手を苦しめる訳ですが、この風こそが、自然の力を改めて感じさせてくれます。人間の力とは小さなものだと、改めて感じながら、謙虚さや感謝の気持ちが顕れるという選手も多いようです。
また、宮古島トライアスロンの魅力は、美しい自然だけではないのです。島の方々の温かさ、ホスピタリティこそが、最大の魅力だと思います。歴史のある大会だけあって、ボランティアの方も、大会を楽しんで盛り上げてくださっているのが伝わってきます。大会期間中でなくても、トライアスリートと伝えるだけで買い物を割引してくださるお店だってあります。バイクパートの給水は、日本一、いや、世界一です。必ず受け取れるように、ボランティアの方が自転車に並走して渡してくれるのです!世界各国でレースをしてきた筆者ですが、こんなにレベルの高いエイドステーションは宮古島大会だけです。
最後のランニングでは島の方々の応援に驚くことでしょう。太鼓や音楽での応援はもちろん、たくさんの方が、それぞれ椅子や机を出して軒先で応援してくれるのです。長いランニングの最中に、本当に力になります。私は一度、熱中症でランニングの最中に倒れてしまったことがあります。ボランティアの方々が、救急車を呼んでくださったのですが、なんと、救急車が来るまでの間、日差しを遮るために、ずっと私の前に立ちはだかって影を作ってくださっていました。意識が朦朧とする中で、島の人々の優しさに感動したのを覚えています。フィニッシュ地点では、制限時間が近づくにつれ、盛り上がっていきます。制限時間には花火があがり、盛り上がりは最高潮に。最終走者をみんなで讃えるスピリッツは、トライアスロンの原点ともいえるでしょう。現在(2017年4月現在)、日本にフルディスタンスのIRONMANがないのが残念ですが、IRONMANも同じように最終走者を讃えます。ぜひ、この感動を参加して味わってほしいものです。
宮古島大会のスローガンは、「海、風、太陽(てぃだ)、君を待つ」です。このスローガンにトライアスロンの魅力が集約されているように思えますね。
「トライアスロンで自分と向き合う」
トライアスロンはタイムとの戦いではなく自分との戦いです。マラソンランナー同士であれば、挨拶代わりにお互いのタイムなど聞きますが、トライアスロンでは、タイムを聞くことはありません。自然条件しだいでタイム大きくかわるので、気にしている選手はあまりいません。それよりも、会話にあがるのが、次の大会は何にでるの?どこの大会が良かった?といったこと。そして、会話の終わりには、一緒に出ましょう!だったり、この大会はお勧めです!といった話になります。
お気づきの通り、トライアスロンにとって、タイムや人との比較は重要ではないのです。特にタイムは、あくまで目安。前述の通り、気温や海の状態、風、コースの難易度など、自然の影響を大きく受けるスポーツだからです。重要なのは、フィニッシュするという大きな目標をどう達成するか、なのです。選手の目標はそれぞれですが、完走する、という大きな目標は皆同じです。トライアスリートにとって、選手同士は、ライバルではなくて、共に完走を目指す仲間なのです。最後のランニングはどんなにトレーニングを積んだ選手でも辛いもの。自分に負けそうな気持ちと葛藤しながら走っています。だから、選手同士励まし合って、フィニッシュを目指す姿がよく見られるのです。
極限状態において、頭の中がどんどんシンプルになっていく感覚が、病み付きになるのかもしれません。大自然の中で、ちっぽけな自分の存在を確認しながら、頭の中がどんどん整理され、余計な考えがなくなっていきます。そこに島の方々の温かさに触れて、どんどん心が素直になっていく…フィニッシュゲートでは、泣きじゃくりながら走ってくる選手の姿が多く見られます。かくいう私も、泣きながらのフィニッシュをよく経験しています。心が洗われていくようです。まだ、体験したことのない方には、ぜひ体験してもらいたいですね。
byKD