ランが必ず強くなる鉄板メニュー
トライアスロンのランニング練習はどのようなものでしょうか?基本的には、ランニング単体の練習と同じですが、あくまでも3種目のうちの1種目になりますから、割ける時間も限られています。ランニング練習の種類と効果、タイミング(時期)の特性を勉強して、効率のいい練習を行ないましょう!
基本はジョグと流し
運動をはじめたばかりの初心者のみならず、ランニング以外のスポーツ経験がある人でも、まずは、ゆっくり走ることからはじめましょう。距離も、スピードも気にせずに、ゆっくりと走ります。30分走り続けることができたら、40分、60分、90分と「時間」を伸ばしていきます。なるべく、頻度は増やしていきましょう。一週間に一度程度ではなく、2〜3回、そしてそのうちの一日で90分ゆっくり走れるようになれば、次の段階です。なぜ、ゆっくり走ることを先にお勧めするかというと、ランニングは故障が多い種目だからです。膝や足首周りの故障を防ぐためにも、腱がランニングの衝撃に慣れて適応していくまで、これから紹介するような強度の高いランニング練習は避けましょう。また、故障が治ったばかりの人も、同じです。ゆっくりのジョッギングが基本練習です。
また、ジョッギングの前後に、「流し」を取り入れるとより良いですね。「流し」とはウインドスプリントとも呼ばれ、60〜80mくらいの短い距離を80%程度の力で疾走する練習です。3〜5本程度を休憩を挟みながら行ないます。休憩時間は、疾走した距離分をゆっくり走って戻る程度で十分です。きつい練習ではなく、大きなストライド、早いピッチで走る技術練習だと思ってください。この程度のスピード練習であれば、故障のリスクは少なくなります。
3種目あって忙しいトライアスリートですから、スイムバイクに重点強化をおいている場合や、ランニング出身などの上級者であれば、ジョッグと流しだけでも、ある程度パフォーマンスをキープできます。ただし、中上級者がパフォーマンスを向上させるには、ジョッグと流しだけでは限界があります。
中上級者はインターバルとペース走
先のようにゆっくりのジョッギングである程度、故障しない脚作りができてきたら、インターバルとペース走に取り組みます。中上級者がランパフォーマンスを向上させるには、この二つの練習を組み合わせていきます。
インターバルは、レース(5kmだったり10kmだったり)のペースと同じかそれ以上に速いペースで走る練習です。中級者なら、合計距離が5km程度、上級者なら10km程度まで。速いペースで走り、体がきつくなってくる中でフォームをキープし、タイムを求めていきます。また、ゆっくりのジョギング休憩の間に、素早く心拍数を落として回復させる能力も開発していきます。主に、V02maxと呼ばれる、「エンジン」の部分を効果的に鍛えることができる練習です。
参考メニュー
400×10〜20本 レスト200ジョッグ(1分〜1分30秒)
1000×5〜10本 レスト200ジョッグ(1分〜1分30秒)
2000×3〜5本 レスト400〜600ジョッグ(2分30秒〜4分)
ペース走は、レースのペースよりも、遅いペースですが、その分長い距離を一定ペースで走る練習です。レースのペースで一定距離を走ることは、体に強い負荷がかかるので、レースだけで十分。練習では、少し落としたペースでペース感覚を磨き、またフォームに気を配って走っていきます。省エネルギーで走るには一定ペースが一番です。一定ペースで走りながらフォームと自分のきつさを評価し、どんなフォームが効率的かを考えて走っていきます。「エコノミー」の部分を特に鍛えていく練習といえます。
最初から、一定ペースで押し通すことも重要ですが、レース距離に近い場合には強度も高く難易度が高い練習です。長い距離(20kmとか30kmなど)の場合には安全圏でのペース設定が重要になります。もし、6〜10km程度で、比較的、レースに近いペースで練習する場合には、一定距離ごとにペースをあげていくビルドアップ走がよく用いられます。後半になるにつれ、体が動いてくるうえ、もし、上げるのが難しいときには、ペースキープに練習内容を切り替えられるので、失敗が少なくお勧めの練習方法です。
参考メニュー
8kmペース走(ショート10kmのペース or +10秒/km)
12kmビルドアップ走(4kmごとにショート10kmのペース+20秒/km・15秒・10秒 or More)
20kmペース走(ショート10kmのペース+25秒/km)
30kmペース走(アイアンマン42kmのペース)
いずれのインターバルも、ペース走も、設定ペースが重要です。必ず距離が正しくわかる周回コースか、トラックで走りましょう。インターバルの際には1本目に頑張りすぎて、残りの本数が狙ったペースで走れなくなってしまっては練習効果が薄くなってしまいます。決めた本数で維持できるペースを設定することに特に注意してください。ペース走でも、途中で打ち上がってしまう(ペースが上げられず、キープできず、落としてしまう)と、練習効果が薄くなってしまいます。自分がどのくらいのペースで、どのくらいの距離だったら持つのか、自分の能力を把握してペースコントロールする練習でもあるので、練習前のペース設定、本数設定は慎重に!
ポイント練習ばかりはダメ
先に述べたインターバルやペース走は、練習効果の高い練習ですが、その分、故障のリスクも高い練習です。必ず、ウォーミングアップ、クーリングダウンを行い、練習後には、ストレッチやセルフマッサージなどで体のケアをしてください。これは絶対です。また、このような練習(ポイント練習と呼びます)を一週間に何回も入れることは避けましょう。ほかの種目もあるトライアスリートなら、週一回で十分です。ランニング強化期と位置づけている、または十分に回復できる環境の選手であれば、2〜3日の間隔をあけて週に二回行います。このときの二回は、インターバルとペース走とメニューを変えて行なうほうが故障のリスクも減りますし、バランスよく、能力が開発されます。また、ポイント練習だけではダメです。その他の日は、ジョッギングと流し、で走りを整えたり、走りながら疲労を抜いていきます。基本はジョッグと流し、これを忘れずに!
By KD