オープンウォータースイムはマイペースで乗り切れ!
OWS(オープンウォータースイム)は、トライアスロンのレースで最初に行われる種目です。待ちに待ったレース直後は、気持ちが前のめりになって、オーバーペースで泳ぎ出してしまうことも少なくありません。「いつも通りだったらもっと速く泳げたのに……」と後悔しないようにマイペースの重要性を確認してみましょう。
水中で信じるものはマイペース
トライアスロンのスイムコースは会場によってすべて異なりますね。同じ場所でも、時間や天気によっても様子は大きく異なります。波や潮、寒さ、周りの選手たち、と条件が違えば、プロでも、初心者でもタイムが変わるのは当然です。泳ぎながら、タイムを見ることは難しいですが、タイムはあてにしてはいけません。OWSで成功するには、タイムに頼らない自分のペース感覚「マイペース」を知っておくことが重要なのです。水中で信じられるものは「マイペース」だけです。
もしも守れないと
マイペースを守れず、オーバーペースで序盤を泳いでしまえば、後半に失速、結果スイムでの順位を大きく下げてしまうでしょう。そして、それ以上にその後のレース展開に影響を与えてしまいます。トライアスロンのレースでは少しでも体力を温存して泳ぎきらなくてはいけません。スタート直後はエネルギーに溢れて思いがけず、ハイペースになる人も多いですが、三種目のうちの最初の一種目であること、三種目通じてのイーブンペース、そしてOWSの中でもイーブンペースになるように気をつけましょう。スイムでのタイムや順位を意識するよりも、三種目終えたトライアスロンのフィニッシュタイムや順位を再確認しておきましょう。
惑わしのOWS
マイペースをどれだけ守ろうとしても、それを惑わす存在があるのがOWSです。特に注意すべきは他の選手!コースロープもなく、進路を自分で確認しなくてはいけない状況では、周りの選手がどうしているのか、気になりがちです。周りに人がいるということで安心感を得ることもできます。しかし、その安心感が仇となり、ペースを乱されてしまうのです(ついていった選手を信じていたら一緒にコースアウトなんてことも……)。
レースの中盤にもなるとおおよその泳力が均等に慣らされていきます。基本的には同じペースで泳いでいるはずなのでスピードの目安にすることができます。しかし、最後まで期待し続けることは危険です。前半で飛ばしすぎてスピードが落ちてきたのか、それとも後半でペースアップをするために前半を抑えているのかの判断が難しいからです。陸上であれば相手の息遣いやフォームなど、判断材料がありますね。その上、目視で相手がそれまでどの位置にいたのかもわかります。ところが、水中ではそれができません。前を泳いでいる選手、隣を泳ぐ選手を信用してはいけません。信じられるものは、自分のペース感覚のみ!
練習場所は同じ場所で
マイペースを身につけるためには反復練習が必須です。それも、ほとんど変化のない同じような環境で練習することが望ましいです。プールであれば、どこでも同じのように思えますが、混雑状況、使用ルール、水温などにより変化がありますから、同じ環境下で基本となるペース感覚を身につけてください。このときに、指標となるのは、体のキツさと、タイムです。一定の環境下でタイムを取り続けていくと、体のキツさでタイムがわかるようになっていきます。あとは、条件が変わる(OWSだったり、違うプール環境だったり)状況で、体のキツさを指標に「いつもだったら、このキツさでこのタイムだ」というペースで泳いでいくわけです。条件が変われば、タイムが変わるのは当たり前。体のキツさをペース感覚として染み込ませましょう。
単純なメインメニューと、心拍数
ペース感覚を磨くためには、定期的に同じメニューを繰り返してみるといいでしょう。
100m×10本や、200m×5本など、サイクル時間(レスト時間)を同じにした単純なメニューを定期的に行なってください。どこまでのスピードが最後まで泳ぎ切れるペースなのか、つまりマイペースを頭でも身体でも知ることができるでしょう。
先述した体のキツさ、は調子によってバラつきます。できれば練習中に心拍数を計って自分が今、どのくらいの心拍数で泳いでいるのかが、わかるようにしましょう。水中で心拍計を見ることができない?安心してください。泳いだあとのレストですぐに脈を計ればOKです。頸動脈が触ってわかりやすいですよ。10秒間で何拍か、把握しながら練習していきましょう。
以上、OWS、スイムパートについて書きましたが、上記のことは、実はバイクにもランにもあてはまること。トライアスロンは、自然と向かい合い、自分と向かい合うスポーツ。同じ条件でレースすることのない、大人のスポーツです。いかに、他者や環境に惑わされず、自分のパフォーマンスを高められるか、マイペースで進むことができるかですね!
by MKD