スイムキックで抵抗になっていない?推進力のあるキックのコツ
スイムは抵抗を減らすことが大切です。もちろんプールであれば、抵抗を減らすだけでも速く泳げるようになります。しかし、海や川、湖など常に変化する環境で行われるトライアスロンのスイムは、抵抗を減らすだけでは速く泳げない場合があります。
速く泳げない例として、潮の流れがあります。潮の流れが進行方向に対して逆流している場合、抵抗を減らした大きな泳ぎをしていると、なかなか前に進めません。トライアスロンのスイムは、状況に応じて泳ぎのリズムや力強さを変える必要があります。
つまり、抵抗を減らしながら推進力の獲得を目指すことが、トライアスロンのスイムでより速く泳げるようになるコツです。そのためにも「抵抗を減らしながら推進力を獲得する技術」を習得する必要があります。
推進力を得るためには、腕力(プル)と脚力(キック)を鍛えなければいけません。特にトライアスロンのスイムでは、プルが重要視されます。なぜなら、トライアスロンで唯一、プルが主体になるのがスイムだからです。
だからと言って、キックを疎かにしてはいけません。疎かにしているトライアスロン挑戦者(トライアスリート)が非常に多くいますが、これはとても残念なことです。
では、どのように抵抗を減らしながら推進力が出るキックを習得すればよいのか解説していきます。
脚の付け根から動かし、膝を曲げすぎない
キックを打つとき、多くの人がひと蹴りで大きな推進力を出そうとしてしまいます。これはあまり良いことではありません。スイムでキックを行うときのポイントは、脚の付け根(股関節)から膝を曲げすぎないように細かいキックを打つことです。
ひと蹴りで大きな推進力を出そうとすると、キックの幅を大きくすることになります。キックの幅を大きくするということは、膝下を使った曲げ伸ばし動作になりやすくなってしまいます。キックで膝を曲げすぎてしまうと、太ももやふくらはぎの抵抗が大きくなり、うまく前に進めません。
そこでキックを打つときは、ひと蹴りで大きな推進力を出そうとするのではなく、脚の付け根から太もも、膝、足首、足先の順でムチを打つようにしなやかに蹴り出します。
自分の肩幅を意識する
さて、細かいキックといっても捉え方には個人差があります。細かいキックのポイントは、上記でも述べたように「キックの幅」にあります。ここで述べるキック幅とは、自分自身の肩幅の長さよりも大きくならない幅をイメージしてください。
泳ぐときは身体の中心に1本の軸を意識します。その軸を中心に左右を傾かせながら (ローリングしながら)泳ぐことになるため、肩幅がポイントになります。
特に、ローリングで下げた方の肩の高さよりもキックを打ち下ろさないように意識します。蹴り上げの目安は、かかとが水面に少し出るくらいにしましょう。誰かに正面から泳ぎも見てもらったとき、脚が見えないように細かくキックを打つイメージを持ってもらうと、抵抗の少ないキック幅になっているかと思います。
タイミングを合わせて押さえ込むイメージ
さて、ここまでを意識できるようになっただけでも、抵抗の少ない推進力の出せるキックが打てるようになっているのではないかと思います。さらに推進力を出すポイントとしては、キックのタイミングがあります。スイムでは、プルとキックを使って前に進みます。そのため、プルとキックのタイミングを合わせることはとても大切です。
しかし、キックを強く打とうと意識しすぎてしまうと、余計な力みが入ることで姿勢は崩れ、抵抗が大きくなってしまいます。それでは大きな推進力につながるキックは打てず、タイミングも合いません。
まずは、タイミングを合わせて推進力を出すために「キックを打つ」という意識から「タイミングを合わせて水を押さえ込む」という意識を持つようにしてみましょう。タイミングが合ってきたところで、少しずつ強いキックを打つことができれば、さらに推進力のあるキックを打てるようになります。
このように、脚の付け根から動かし、キック幅とタイミングを意識してキックを打つことで、抵抗を減らしながら推進力の出るキックを習得できるようになります。大きく脚を動かすのではなく、細かく動かすことを意識しましょう。
by MKD