アイアンマン(IRONMAN)の歴史と魅力
アイアンマン(IRONMAN)トライアスロンは、世界の各国で開催されている人気大会です。この大会はもっとも過酷なトライアスロンレースといわれており、多くの競技者がそれぞれ自身の限界に挑戦しています。
トライアスロン競技には、さまざまな距離設定があります。その中でも、アイアンマントライアスロンは、水泳3.8キロ、自転車180キロ、フルマラソンの42.195キロで構成されている距離の長いレースです。
制限時間は開催地によって異なりますが、多くのレースで17時間がタイムリミットとされています。また、それぞれの種目にもタイム制限が設けられているので完走することが一つの目標にもなります。
そして、アイアンマントライアスロンは、現在では世界の40カ所以上で開催されているシリーズ大会であり、中には、北アメリカや、南アメリカ、アフリカ、アジアパシフィック、ヨーロッパなど、大陸別のチャンピオンを決める大会もあります。
これらのアイアンマンレースで上位に入ると、ハワイ島コナで年に一度、10月に開催されるアイアンマン世界選手権の出場権を得ることができます。アイアンマン世界選手権は、アイアンマンハワイと呼ばれ、世界中のトライアスリートの憧れになっていています。各シリーズ大会では、ハワイ大会に出るために熾烈な争いが行なわれているのです。
アイアンマントライアスロンの歴史
アイアンマントライアスロンの起源は、「スイマーとサイクリスト、ランナーのうち、誰が一番強いのか?」そんな冗談のような話からはじまります。アメリカ海軍長のアイディアで、1978年にオアフ島で初開催され、このときのレースは、ワイキキラフウォータースイムの3.8キロとアラウンドオアフ・バイクレースの180キロ、ホノルルマラソン42.195キロを連続して行うことから始まりました。
1982年には開催地がオアフ島からハワイ島へと移されました。それからのアイアンマントライアスロンは、アメリカのNBCテレビで放映されたり、アメリカでもっとも一般的なスポーツ雑誌である「スポーツイラストレイティッド」に掲載されたりと、徐々に競技人口も増えていきました。
そして、長い年月がたった今、アイアンマントライアスロンは世界各地で開催される大規模な人気レースへと成長したのです。
アイアンマンスイムの特徴
アイアンマンレースのスイムは、主に海、湖や川などで行われます。そのため、波が高いなどでスイムが中止になったり、距離が短縮されたりすることも、稀にあります。また、レース当日の水温によって、ウェットスーツの着用も義務づけられています。このように気象条件に左右されやすいのが、アイアンマンスイムの特徴といえます。さらに、競技スタートから3.8キロも泳ぎ続けなければいけないため、途中で補給をすることができません。3種目のうち、補給ができないのはスイムだけです。事前のトレーニング準備はもちろん、当日のスタート前の補給も重要になってきます。
アイアンマンバイクの特徴
3種目の中で一番距離、時間が長いのが、180キロを走るバイクです。コースは、フラットやアップダウンなど、レースによって様々です。また、ロードバイクだけでなく、トライアスロンに特化したバイク(タイムトライアルバイク)など特別な道具を使うのも特徴です。もちろん、長い競技時間中には水分やエネルギー補給が必要になります。選手たちは、補給物を自転車に搭載したり、途中にあるエイドステーションにて受け取ることができます。このパートでの補給が最終的な選手のパフォーマンスを左右するといっても過言ではないため、とても重要視されています。
バイクパートでは、前走者を風除けにして走行すること(ドラフティング)やポイ捨て(リターリング)などの禁止など、共通のルールを守らなければいけません。守れない場合には、タイムペナルティまたは失格となることもあります。
アイアンマンランの特徴
最後の種目であるランでは、フルマラソンと同じ距離の42.195キロを走ります。ランコースは主に2〜3周回が主流ですが、稀に周回のないレースもあります。最後のランは、肉体的にも精神的にもきつい種目です。コース上では、走る選手もいれば歩く選手もいます。しかし、ランは沿道との距離が一番近い種目でもあります。そのため、エイドステーションのボランティアをはじめ、沿道からの応援が心の支えとなって、フィニッシュへと選手を進ませるのです。また、一緒にフィニッシュを目指す仲間として、選手同が励まし合い、鼓舞し合う姿は、ほかのチャンピオンスポーツには見られない光景です。フィニッシュ地点では、タイムの速い遅いに関係なく、「You are an IRONMAN !!」の声とともに、完走者が讃えられ、「アイアンマン」の称号を得ることができます。「完走者の誰もが勝者である」というのがアイアンマンの精神です。最終走者のフィニッシュが一番盛り上がるというのもアイアンマンならではですね。
このように、アイアンマントライアスロンは、自分自身の限界に挑戦する、完走者全員が勝者である、という精神が支持され、今では多くの人が挑戦し続けています。トライアスロンをはじめたら、いつかはアイアンマンにチャレンジしたい、そう思う大会です。アイアンマンレースに挑戦するには、十分な準備が必要です。十分な準備なしでは、ただキツい思いをして、後悔するだけでしょう。十分に準備をした本番までの日々があってこそ、充実感があるのです。ぜひ、しっかりと準備をしてアイアンマンにチャレンジしてみてください。
by DG