トライアスリートに効く筋膜リリース!?
最近、よく聞かれる「筋膜リリース」という言葉。最近のスポーツ業界で流行っているコンディショニングです。実は、この筋膜リリースというコンディショニング方法は昔からある手法でした。ただ、これまでは、治療家による専門的な技術が必要なコンディショニングでしたが、自分自身で施術できるフォームローラーのような道具ができてから、爆発的に広まりました。爆発的に世に広まったとはいえ、本当に理解をしている方が少ないかもしれません。
筋膜とは
改めて、基礎知識から紹介していきます。筋膜(Fascia)とは、皮膚の下にある筋肉を包んでいる薄い膜のことです。包んでいる組織によって、名称が分けられています。筋肉繊維を包んでいる「筋内膜」、その「筋内膜」で包まれた筋繊維の束を包んでいる「筋周膜」、そしてさらに、それらを束ねて包んでいるのが「筋外膜」となります。隣合う筋肉同士を仕切っているのが筋膜ということになります。
筋膜の役割
組織(筋肉)を包み、隣り合う組織とを仕切りつけ、体の姿勢を維持します。このとき、隣り合う組織同士が動き、擦れあうときの摩擦から保護しています。筋膜の成分はコラーゲンで、その85%が水分です。
筋膜が癒着するとは?
85%が水分の筋膜ですが、水分の枯渇やストレス、筋肉が硬くなって柔軟性の低下すると、筋膜同士がくっついてしまいます。これを「癒着」という訳ですが、筋膜同士がくっついてしまうので、筋肉自体の動きが悪くなってしまいます。背中や腰の凝りがある方は、この筋膜同士の癒着によるケースが多いことがわかってきました。この筋膜の癒着を取り除いてあげる(リリース)ことで、痛みを改善することができます。
この凝りの原因となっている筋肉が硬くなり筋膜同士が癒着している部分は、「トリガーポイント」(痛みの引き金)と呼ばれます。痛みのある部分が癒着しているとは限らず、別の場所に痛みを発生させています。全ての筋肉は筋膜によって繋がっていますから、癒着部を見つけ出し、剥がしてあげることで、動きが悪くなっていたり、痛みを改善できます。
筋膜リリースのやり方
それでは、筋膜リリースのやり方です。筋膜リリースは「筋膜剥がし」とも呼ばれるように、筋膜を引き剥がすのですが、特別な技術をもった治療家でなくても、選手自身でできるようになりました。ある程度の硬さのある円柱や、テニスボールサイズのボールやフォームローラーなどを使って行ないます。今では、いろいろなブランドから器具が出ていますので、試してから購入してみてください。
凝りのある部位に対して、深く圧をかけていきます。深層部の筋膜にも届くように。このとき、圧をかけながら深呼吸を忘れずに。息は止めないように。ゆっくりと筋繊維の方向にあわせてストロークしていきます。速く何回もストロークしないようにしましょう。各部位を深い圧をかけてゆっくり4〜5ストロークするので十分効果があります。
私の体験談になりますが、交通事故に遭った後のことです。打ちつけた左の膝の組織が、長いことランニングせずに治療していたため、ランニングを再開したら激しい痛みが出るようになってしまいました。ゆっくりのジョギングなのに、一時間もすると腸脛靭帯炎のように筋肉が硬直し、痛んでしまうのです。そこで、治療家の方に、初めて筋膜剥がしというものをやっていただいたのです。それは、皮膚を引っ張ったりして、実際に徒手で筋膜を剥がすやり方でした。まずまず痛かったのですが、その後、何回か治療していただき、みるみる回復し、痛みなく走れるようになりました。筋膜が剥がれて筋肉が動きやすくなっている感じ、水水しい感じが出てきたのです。筋肉をしばらく動かしていなかったので、硬直して水分も失われ、筋膜が癒着していたのでしょう。今では、予防策として、フォームローラーで常にトリートメントしています。お勧めです。
by KD