トライアスロンレース中の暑さ対策
トライアスロンと暑さは切り離せない関係にあります。トライアスロンのようなエンデュランス系の種目では、暑い日のレースでは、勝敗を分ける大きな要因に成り得ます。暑さが得意、苦手というのは、発汗量などの個人差によるものもありますが、対策でその個人差を最小限に留めることもできます。
アジア人は暑さに強い?
個人差がある、と書きましたが、人種によって体質が異なることが挙げられます。高温多湿の環境下で生活をしてきたアジア人にとっては、高温多湿のレース環境は、欧米人に比べて楽に感じられるようです。逆に、寒さに弱いのがアジア人です。欧米人の皮膚感覚、体温感覚は寒さに強く、寒いレースでは大きく差がでることが多いです。このように、もし、あなたがコナ(アイアンマン世界選手権)を目指して予選レースに出場するのであれば、自分の得意なレース環境を選ぶといいでしょう。アジア圏でのアイアンマンでは、ランで大きな差がつきます。日本人選手の多くがランニングでジャンプアップする傾向にあるのは、欧米人に比べて高温多湿の環境下に強いということもあります。
暑さを攻略する
日本人は高温多湿が得意だ、と書きましたが、私は日本人だけど暑さが苦手なんだけど…という方もいるかと思います。そうした方を見ると、暑さが苦手というよりも、暑さに対して無防備なことが多いように感じます。暑さに対して、しっかり対策をしておけば、必ず乗り切れますので、以下を参考にして後自分の苦手意識を払拭して欲しいと思います。
①ペースを落とす
一番大事で、暑さが苦手と言っている選手が一番疎かにしているポイントがペース配分です。どんな選手でも、暑いレースではパフォーマンスが落ちます。これを頭に入れておかないといけません。トライアスロンは、記録を狙っているわけではありません。自分に克ち、ライバルに勝つのが目標ですよね?自分の目標タイムがあっても、暑いレースでは、十分にタイムを下方修正しましょう。ライバルが、通常時と変わらないハイペースで走っていても、自分は冷静に、設定ペースを下げたペースで走ります。暑さは、選手全員に影響していますから、後半で必ずライバルは失速します。そうです、今まで失速していたあなたのように。ペースを下方修正すれば、後半に失速していくライバルたちを難なく交わすことができるでしょう。自滅していく選手たちの様子は後方から手に取るようにわかるものです。具体的な下方修正のラインですが、通常時と同じような心拍数、もしくは少し低いくらいに考えておきましょう。暑いレースでは、心拍数が上がりやすくなっています。通常時と同じ速さで走ってしまうと、心拍数も跳ね上がります。また、どのラインまで下げれば走りきれるか、そういった体内センサーを普段から磨きあげておくことも大切です。心拍計やパワーメーターがなくても、体内センサーでわかるように、普段の練習から問いかけながらトレーニングしておきましょう!
②体を冷やす
暑さがパフォーマンスに悪影響を与えるのであれば、体を冷せばいいのです。ペース配分を間違えず、体がオーバーヒートしないようにコントロールしながら、さらに掛け水をしながら、体を冷やしながら走っていきます。掛け水は気化熱によって体の熱を外に放出してくれます。特にバイクパートでもランパートでも、水を飲むことよりも、体に掛けることに気をつけてエイドを活用します。
③給水、補給に気をつける
暑い日に、喉の渇きに任せて、ゴクゴク給水してはいけません。人が一時間に摂取できる給水量は決まっています。個人差がありますが、一時間に1リッター前後でしょう。さらに、暑い日には、内臓の機能も低下します。無理に内臓の負担をかけてしまうと、「何も受け付けない」という状態になってしまいます。暑い時に、内側から冷やす?ことができないので、給水を一気にゴクゴク飲み干すのはNG。少しずつ、適量を摂取し、それよりも水を掛けることに注意を払いましょう。そして、もう一点。発汗量が大きくなるので、必ず電解質を取ること。給水を冷たい真水だけにせず、電解質を含んだものにするか、タブレットなどで電解質を摂ること。気をつけてください!
*詳細は、「補給を制する者はトライアスロンを制する」を参考にしてくださいね!
④日焼け止めを塗る
日焼けは暑さによるダメージを増幅させます。レース前には日焼け止めは必須。もし、時間に余裕のある選手なら、トランジッションで日焼け止めを塗り直すのも効果的です。また、トライスーツは肩を出さないものがいいでしょう。アームカバーや、ボレロなどを羽織るのも日焼け対策として有効です。掛け水をする際にも、アームカバーやボレロなどの場合には、しっかり水を含んでくれるので、気化熱を使った冷却ができます。おすすめです。
以上、暑さ対策でした。どうでしたか?
うーん、掛け水もしているし、電解質も摂ってるし、日焼け止めも塗っているんですが…?根性が足りないの?もう一度、自分のレースを振り返ってみてください。ペース配分、守れていますか?自分が思っている以上に、レースでは興奮して冷静なペース配分が出来ていない方が多いようです。暑い時には、ペースを下方修正、走りきれる完全ペース!根性が足りないなんて方はトライアスリートにはいないでしょう。いくら根性がある選手でも、オーバーペースには根性で対応できませんから。しっかり根性も含めた自分のパフォーマンスを把握して、走りきれるペースに落とすこと!結果的に、最後にはいい順位が待っていますから焦らず実行してくださいね。これこそ、大人のスポーツであるトライアスロンの醍醐味です。ライバルとの駆け引き、楽しんでくださいね!
by KD