トライアスリートの落車、事故のリスクを減らす方法
トライアスロンでは、残念ながら悲しい事故が起こり得ます。トライアスロン人口が増えて、死亡事故のニュースが目につくようになりました。ほとんどの死亡事故は、スイムパートでの溺死です。よくよく事例を精査していくと、泳力のない初心者が溺れているのではなくて、ある程度の経験者の方(ほぼ男性!)が、何らかのトラブルにより溺れています。脳梗塞だったり心筋梗塞だったりと原因は様々ですが、たまたまスイム中に発症してしまった、もしくは冷たい水やウエットスーツの締め付け、などの要因で発症が促されたのか、など考えられます。ただし、練習中のプールでのスイム中の事故はほぼないようです。2017年に行われたJTU主催コーチシンポジウムにおいても、トライアスロンスクールでのプールスイムの事故は発表されませんでした。
同じくランニング中の事故も報告されていません。ただし、散見されるのは、バイクトレーニング中の事故です。これは、落車と交通事故の2パターンがありますが、ぜひ、皆さんにはリスク回避の方法を知っていただき、無用な事故に遭わないようにしていただきたいと思います。
バイクコースの選び方
落車や事故に遭わない方法はプロ選手がよく知っています。プロ選手は、一日に5時間も6時間も、一週間に10時間以上もサドルの上で過ごします。皆さんに比べて、何倍も事故に遭う確率が高いのです。そのため、練習コースは慎重に選んでいます。
選ぶコースは、まず交通量が少ないこと。それも時間帯によって使い分けること。サイクリングロードも早朝は快適ですが、時間帯によっては歩行者、遊んでいる子供たちなどで危険が高まります。そして、なるべく止まらない(信号がない)こと。事故が多いのは交差点付近、なるべく大きな交差点が少ないコースが理想です。止まらないことは、トレーニング効果も高めます。
初めての土地、道では慎重に。プロはなるべく同じ練習コースで練習します。毎日、毎週のように走っている道では変化に気がつきやすいものです。側溝だったり、工事だったり、路面の凸凹だったり。また、冬場には、凍結箇所も気になるところです。凍結の可能性のあるコースは冬場は使用しません。
安全のためには、多少退屈でも周回で距離を重ねることも厭いません。安全なコースにいくまでに自転車には乗らず、車で移動してからトレーニングします。激しく追い込む練習では、ローラー台を使用します。
自動車にアピールする
自転車は車道を走る権利があります。ですが、自動車のドライバーからすれば、邪魔でしかないですね。ドライバーの気持ちを逆なでしないように、謙虚に走りましょう。ただ、細い道などでは、無理に抜いてもらうのも危険と判断すれば、車が無理に抜いてこないように手信号などで合図をしながら堂々と走りましょう。頑張っても時速が30kmが40km超えるくらいにしかなりません。申し訳ない気持ちは手信号で伝えて、焦らず安全な速度で、広い道に出るまでは車を従える形で走って良いと思います。そして、広い道に出たら、一礼して感謝の表現をしてみてはどうでしょう。自分が車のドライバーだったら、気分は悪くないはずです。
また、夜間はもちろん昼間でもライトをつけておくといいですよ。自転車が走っている、ということを自動車ドライバーにアピールしなくてはいけません。派手な色のウエアも事故防止には役立ちます。
実力不明のライダーを避けて落車を避ける
仲間とのトレーニングにも十分な注意を払いましょう。仲間との接触事故は、お互い嫌な気持ちになるものです。仲間とのトレーニングでは、必ず信頼できる実力の仲間と乗ります。バイク操作が未熟なライダーと走る場合には、十分に注意をし、そして危ない動きをしないように指導しましょう。見ず知らずのライダーと一緒に乗るようなバンチライドは大変危険ですよ!
私の事故経験
私は、チームメイトの5名でパックライドをしている時に、事故に遭遇したことがあります。私たちは、緩やかに30秒交代でのローテーションで9kmの周回コースを集団走行をしていて、徐々にB-up中、最後尾に見ず知らずの選手が入り込んできました。嫌だなぁ、と感じてはいたのですが、ローテーションには加わらずにいたので、無視をして練習を続けていました。すると、まだペースも速くない中盤でしたが、その彼にとっては厳しいペースだったのでしょう。最後尾の選手の後輪にハスって落車。ハスられたチームメイトは落車しませんでしたが、振り返ったら落車しているわけで、練習を中断せざるを得ませんでした。
しかも、その落車した選手は、大腿骨骨折の大怪我で救急車を呼ぶことに。我々としては、まさに「もらい事故」。勝手に後ろに付いてきて、勝手にハスって落車…、私たちに非があるようには思えませんでしたが、落車した彼は、とても不満そうでした。その後は、彼から治療費やバイクの修理費などの請求までされそうになり(最終的には請求されませんでした)、非常に気分の悪い思いをしました。
以上の教訓から、チームメイト以外の方が、集団に入ってきた時には、「申し訳ないですが、チーム練習をしていますので、ご遠慮いただけますか?」と声をかけるようにしています。また、自分自身も、知らないチームの集団には入らないようにしています。こうした自己防衛が大事です。
皆さんも安全第一で楽しいトライアスロントレーニングを!
by KD