バイクのレベルチェック!FTPの計測方法
FTPとは
近年のバイクトレーニングにおいては、パワーメーターが普及し、パワーデータを活用することが主流になってきました。パワーデータを活用するに当たり、必ず出てくるのが「FTP」という言葉です。「Functional Threshhold Power」の略で、簡単に説明すると、1時間漕ぎ続けられる最大パワーのことです。スイムやランニングで言うところの「自己ベストタイム」と捉えていいでしょう。ただし、スイムやランニングのベストタイムと違うのは、体重によって差が出るので他者との比較ができないことです。そのため、このパワーをライダーの体重で割った数値を「パワーウエイトレシオ」と呼び、比較することになります。例えば、A選手は体重60kg、1時間全力で走った時の平均パワー(=FTP)が240wだったとします。一方でB選手は体重が70kgでFTPが250w。一見するとFTPが10w高いB選手の方が強いように思います。しかし、体重あたりのパワー(パワーウエイトレシオ)を出すと、A選手は4.0倍、B選手は3.57倍。選手としての能力はA選手の方が遥かに高いといえるでしょう。
FTPの計測方法「20分TT」
そんなバイクの戦闘力とも言えるFTPですが、1時間全力走をしないと計測できないのでしょうか?1時間の全力走は途中で潰れずに一定ペースでパワーを出し切る必要があるので、強い精神力も求められますし、現実的ではないでしょう。簡単にテストする方法がいくつかあるのでご紹介いたします。
一般的に広まっているのが20分TTです。20分間の全力走を行い、その平均パワーに0.95を掛けた数字をFTPとする手法です。
w-up 10分〜15分
main1 全力走5分
easy 10分〜15分
main2 全力走20分
c-down 10分〜15分
total 55〜70分
全力走5分を先に行うことで、ウォーミングアップにもなるのと、予備疲労をつくってからのタイムトライアルになるので、高すぎる数字が出るのを抑える意味があります。上記メニューはインドアトレーナーでの実施を想定しています。もし、安全の全力走ができるコースがあれば、実走の方がより良いと思います。ローラー台の上で出力できても実際に強くない選手がいるのは残念なことです。(参考:ローラートレーニングの落とし穴、実走で速い選手になるために)筆者の経験上、実走で計測する場合には峠を使う選手が多いと思いますが、インドアトレーナーより高く出力します。ダンシングしたり、急勾配の場合にはペダリングもレースのそれとは変わってきます。ヒルクライマーなら、問題ありませんが、トライアスリートの場合はいかがなものかな?と感じています。トライアスロンの多くはフラットなコースが多く、タイムトライアルバイクを使用します。できれば、タイムトライアルバイクで平坦コースもしくはインドアトレーナーで計測すべきかなと感じています。別の計測方法もこちらで紹介しています。(参考:「キツくて測りたくない!20分TT以外のFTP計測方法」)
これは、筆者の20分TTのデータです。比較的、安定して出力できたと思います。コツは、最初に突っ込まないこと。予測パワーより5〜10%ほど低いところから入っていって徐々にbuild-upしていくと失敗がないかと思います。
この時の平均パワーは274wでしたから、0.95を掛けて260wがFTPと言うことになります。体重は65kgですからパワーウエイトレシオは4.0倍ですね。
ウエイトレシオの目安
体重の何倍か?それがバイクの戦闘力として比較ができるわけですが、パワートレーニングの名著である「パワートレーニングバイブル 」(ハンターアレン・アンドリューコーガン共著」によると以下のようにクラス分けの目安が書かれています。4.0倍の筆者は「よい」のカテゴリー。(以下は男性選手のデータです)
世界クラス(国際プロ)5.78〜6.40w/kg
国内トップクラス(国内プロ)5.24〜5.87w/kg
優秀(カテゴリー1)4.71〜5.33w/kg
上級(カテゴリー2)4.09〜4.80w/kg
よい(カテゴリー3)3.55〜4.18w/kg
まずまず(カテゴリー4)3.02〜3.73w/kg
普通(カテゴリー5)2.49〜3.20w/kg
一般(トレーニングなし)2.04〜2.58w/kg
こうしてみると世界トッププロの数字はとんでもないですね。アイアンマンハワイで活躍するトップ選手たちも6倍以上の数字です。皆さんもこのレベル表をモチベーションにFTP計測を定期的に行ってみてくださいね!
by KD