結果を出すための目標設定で押さえるべきポイント
皆さんはどのような形で目標を設定していますか?トライアスロンに取り組む理由や目標・目的は、どのような形でも構いません。しかし、自分自身が納得のできる結果を残すための目標設定には、いくつか押さえておくべきポイントがあります。このポイントを押さえることで、目標達成までのスピードが格段に変わっていきます。
夢ではなく目標を設定する
いきなりですが、皆さん(あなた)は「夢」と「目標」の違いをご存知でしょうか?「夢」と「目標」の大きな違いは、達成するための期日が設定されているかいないかです。「○○になりたい」、「○○に出場したい」、「○○の記録を更新したい」などは夢です。
それに対して、「来年の夏に○○へ出場する」、「来年の秋までに○○の記録を更新する」「4年後のオリンピックに出場する」などは目標にあたります。期日がなく、いつか達成したいなという願望に近いものが夢です。それに対して、明確な期日が設定されているものが目標になります。期日が決まっているからこそ、そこまでに何をしなければいけないのかが明確に見えてくるのです。
もちろん大きな夢も大切です。大きな夢を設定したら、今度は期日の決まった目標を設定しましょう。時間を決め、期日の決まった目標の積み重ねの先が夢へとつながっています。
現状を把握する
一つ問題です。(期日を決めた後は、次に現状を把握する必要があります。そのための例を以下に述べます。)とある人が一隻のヨットでアメリカ大陸を目指しています。その人は準備や事前スケジュール、アメリカ大陸の到着日時も明確に設定して出発しました。
しかし、いつまでたってもアメリカ大陸に到着することができません。そうして、とうとう到着することはできませんでした。
いきなりスポーツとは懸け離れた話になってしまいましたが、これはとても重要なことです。皆さん(あなた)は、なぜ彼が到着できなかったかお分かりですか?目標も設定した、準備・スケジュールも完璧、でも到着できない。いったいなぜでしょうか?それは、自分が出発した地点の詳細が分からなかったからです。
そんな馬鹿なことがあるかと思われたかもしれませんが、これをスポーツの目標に当てはめてみてください。アメリカ大陸は皆さんが実現したい目標です。到着日時が目標実現までの期日です。準備やスケジュールはトレーニング計画になります。出発した地点の詳細とは、現在の自分のパフォーマン(体力や技術など)です。
皆さん、意外と見落としているのですが、とても重要なことです。高い目標を設定したが、設定した期日までに目標を実現できるかは、現在のパフォーマンスレベルに左右されます。現在のパフォーマンスレベル=現状です。現状をしっかりと把握していないと、どんなに実現可能な目標であっても実現困難になってしまいます。
目標達成の可能性は70%程が適当
極端な話になりますが、過去に全く運動したことのない人が、3ヶ月後にフルマラソンで3時間を切る(サブスリー)という目標を設定したとします。これはかなりレベルの高い目標です。目標達成の可能性は、限りなく低いでしょう。フルマラソンでサブスリーという目標は、継続的にスポーツに取り組んでいる人でも、実現するために相当の努力をしなければいけないレベルの目標です。ある調査によれば、日本全国のランナーに占めるサブスリーの割合は3%程度と言われています。この数字を見れば、フルマラソンでサブスリーという目標の高さが分かるかと思います。
いきなりこのような高い目標設定をしてしまえば、大概の人は間違いなくモチベーションを維持できずに挫折してしまいます。モチベーションを維持できたとしても、怪我や風邪などのリスクが高くなります。目標達成のためにモチベーションを維持するには、現状維持ではなく、少し頑張らないと実現できないくらいがベストです。私は、目標達成の可能性が70%程の目標を推奨しています。当たり前にできてしまうことは目標とは言えません。逆にかけ離れすぎていれば願望、すなわち夢に近くなってしまいます。達成はできそうだが、今まで以上に努力をしなければ実現できないレベル。目標達成の可能性70%程が適正と考えます。
自分自身でコントロールできる目標であること
「この大会で優勝する」「来年のレースで○○位に入る」などを目標に設定されている方をよく見かけます。しかし、目標を設定するときに自分自身でコントロールできないものは目標として適切とはいえません。外的要因に左右されて結果が変わるものではなく、内的要因でコントロールできるものであるべきです。優勝する、上位100位までに入るなどは、相手との勝負ということになります。もし勝負する相手が絶好調で、自分が絶不調だった場合どうでしょう?きっと、あなたはモチベーションを維持するのが難しくなるのではないですか?
そこで、自分でコントロールできるものの代表はなんでしょうか?私がオススメしているのは「時間(タイム)」です。タイムは普遍です。自分自身でコントロールできる代表ともいえるタイムを目標にすれば、練習中のタイムが良くなかったとしても、改善する部分や鍛え直す部分を模索し、比較的容易に見つけ出すことができるでしょう。そして、「この大会で優勝する」という目標設定をするのであれば、「昨年の優勝タイムを上回る」ことを目標に設定してみましょう。結果は同じ優勝ですが、自分自身でコントロールできる目標設定になります。
いかがでしょうか?間もなく本格的なレースシーズンが始まります。今一度、自分が掲げている目標が自分自身にとって適切か、改めて確認してみてください。皆さんのトライアスロンライフが充実したものになることを祈っています。