効果的な疲労回復のポイント
長い距離を走ったりレースに出場したりした後、身体は疲弊しきっています。このようなとき、ただ休むだけではなかなか疲れが取れません。また、故障や免疫力の低下による体調不良などが起こる可能性もあります。さらに、疲れが取れないまま次のレースに出場すれば、良い結果が出るどころか、疲労がさらに蓄積するという負の連鎖に陥ってしまいます。そのため、「帰るまでが遠足」であるのと同様に、スポーツは「疲労が取れるまでがレース」であるといえるでしょう。そこで、ここでは自分でできる身体の疲労回復方法や、疲労回復を早める食事のとり方などを説明していきたいと思います。
疲労回復のための柔軟体操・アイシング
レースや練習などで酷使した脚の筋肉や関節は、柔軟体操(ストレッチ)をすることで疲労の除去を促進することができます。ストレッチとは、疲労により固まってしまった筋肉を伸ばすことをいいます。これにより、筋肉がほぐれて疲労が回復しやすくなるのです。また、このようなストレッチは、脚だけではなく背中や腰など全身を行うことが大切です。こうすることによって、これらの疲労による内臓へのダメージなども防ぐことができます。そして、関節や靭帯などに痛みがある場合は、アイシング(袋に氷を詰めて患部を冷やすこと)を行いましょう。アイシングは、熱を持った患部の炎症を取り除くのに効果的です。また、水をかけたりプールで歩いたりすることも炎症の拡大を防止するのに有効です。また、ゴール後はすぐ座り込まずに、5~10分程度の軽いランニングや歩行を行うと疲労物質が除去されやすくなります。これを、クールダウンといいます。
疲労を軽減する入浴方法
入浴することで、身体には適度な「水圧・浮力」がかかり、筋肉を緩めて疲労物質を除去しやすくなります。そのため、シャワーだけでは期待できない疲労回復効果があります。レース後などの疲れがたまっているときは、水温38~39℃くらいの湯に30分~1時間ほどかけて入りましょう。こうすることによって、身体の芯から温まって血流を良くし、疲労物質が代謝されやすくなります。また、入浴中には、酷使した筋肉や足の裏、身体の末端部分などに、張りがないかどうかを手で触りながら確認しましょう。こうすることによって、身体の異常にいち早く気づくこともできます。さらに、入浴中には浮力によってマッサージがしやすくなるといった効果もあります。時間があるときには浴槽内で全身を優しく揉みほぐしてみましょう。このとき、強く押しすぎると筋肉を傷つけてしまう可能性があるので注意が必要です。また、お風呂で温まったあとに冷水のシャワーを15秒程度浴び、再び身体を温めることを数度繰り返す「交代浴」も効果的です。これは、温まった身体の血管は拡張されている状態にあり、冷水を浴びることで血管が収縮します。それにより血流が制限され、次に血管が拡張されたときに何もしていないいときに比べ、血流の勢いが増します。そうすることによって、血液とともに疲労物質が効果的に除去・運搬されるのです。このように、入浴の方法を工夫することで、早く回復させることができます。そのため、症状に合わせてこれまでに述べたような入浴方法を試してみましょう。
疲労回復を助ける食事方法
レース中には、身体を動かすために多くの糖質を消費し、汗をかくことによって水分やミネラルも失われてしまいます。また、傷ついた筋肉を回復させるためには、筋肉の材料となるたんぱく質が必要です。そのため、レース後にはこれらの栄養を速やかに補給することが大切になります。これらの補給には、スポーツドリンクや果汁100%のジュース、エネルギー(糖質)を補給できるゼリー飲料がおすすめです。オレンジやグレープフルーツなどの柑橘系には、身体の回復を早めるクエン酸が含まれているため、積極的に選択するとよいでしょう。また、レース後は内臓も疲れているため、消化能力は低下しています。そのため、レース後には消化に時間がかかる食べ物は避け、消化吸収や喉越しが良く食欲を刺激する食品を選びましょう。また、よく噛んで食べることも重要です。食欲があるからといって、急にたくさんの物を食べると胃腸に負担がかかってしまいます。
レース後の打ち上げなどで、美味しそうな食べ物があっても、胃腸に優しいものを選んで食べるようにしましょう。また、打ち上げ前には、水やスポーツドリンクなどで水分補給をしっかり行うことも大切です。というのも、打ち上げなどで飲まれることの多い酒類には、体内の水分を排出する作用があります。そのため、水分補給をしないままいきなりアルコールを飲むと、脱水症状を起こす恐れがあります。レースが終わったら、まずはしっかりと水分を取ることを意識しましょう。
まとめ
スポーツを行うことは健康で快適な生活を送ることにつながります。しかし、自分自身の体調を正しく把握せずにやみくもに続けると、身体に大きな負担をかけてスポーツが続けられなくなってしまう可能性があります。まずは自分の身体を第一に考え、これまでに述べたような方法を実践してスポーツを楽しんでいきましょう。